ゲゼルマネー経済学入門~ゲゼルマネーを導入して、好景気にしよう

ゲゼルマネー経済学入門

ゲゼルマネーを導入して、好景気にしよう

相続税対策となる永久国債

最近、日銀保有国債を永久国債化するという提案をしている政党がありますが*1, *2、あまりにも無責任です。 中央銀行に多額の国債を買わせてはいけません。既に日本では、日銀の多額の国債保有によって、インフレ時に金融引き締めする方法がなくなっています…

ドーマーの定理の証明(6):貨幣数量説に基づく国債残高の収束性

ドーマーの定理の一連の記事を書くきっかけは、「インフレ率が上がるまでは、国債発行しても構わない」という反緊縮派の主張にあります。もしかしたら、このインフレ制約があると、ドーマーの定理の条件を満たすのではないかという疑問があり、記事を書き始…

ドーマーの定理の証明(5):インフレ率ゼロのときの成長率と国債発行額の関係

今回は、インフレ率との関係を考えてみたいと思います。実は、これがMMTにおける財政スペースと密接に関係しているのではないかと思っているのです。でも、MMTについては詳しくはないので、間違っているかも。 貨幣数量説に基づいて、インフレ率をゼロになる…

ドーマーの定理の証明(4):成長率と金利・国債残高の制約式

オリジナルのドーマーの定理において、毎年の国債発行額の対GDP比率を一定にするように基礎的財政収支を決めるとすると、成長率と金利・国債残高の間には制約が生じます。 今回は、この制約関係について説明します。 1. 成長率と金利・国債残高の制約関係 ド…

ドーマーの定理の証明(3):収束時の基礎的財政収支と成長率・金利の関係

これまでの記事で、オリジナルのドーマーの定理と米原・荒の条件について証明しましたが、ドーマーの定理では、成長率がプラスであれば、金利の大小に依らず、国債残高の対GDP比は収束します。このとき、成長率と金利と基礎的財政収支の間には、一定の関係が…

ドーマーの定理の証明(2):金利と成長率に関する米原・荒の条件

前回は、オリジナルのドーマーの定理について証明しました。 今回は、金利と成長率に関連する条件である日本版ドーマーの定理の証明について書きます。日本版ドーマーの定理は、米原淳七郎氏、荒憲治郎氏がそれぞれ独立に条件を導いたそうです。米原・荒の条…

ドーマーの定理の証明(1):元祖ドーマーの定理

「インフレにならない限り、国債発行しても構わない」という反緊縮派の主張がありますが、MMTにおける財政スペースの増加量とドーマーの定理において許容される債務増加量が、ある条件下では、同じになり、対GDP比の国債残高は発散しないと推測しています。 …

【MMT】「政府赤字は、民間黒字?」 間違えではないけど、歪んでるよね?

MMT

MMTについて、少し勉強を始めました。「R. レイのMMT入門」というタイトルで、翻訳がネット上で公開されていますが、今回は、その記事を読んでの感想です。 1. 誰かの金融資産は誰かの金融債務 今回の感想は、R.レイのMMT入門 第一章 マクロ会計の基本 第一…

財政ファイナンス時のインフレシミュレーション

現在、日本では、異次元緩和という名のもとに日銀による国債引き受け、つまり、実質的な財政ファイナンスが行われています。財政ファイナンスを行うと、ハイパーインフレになると言われますが、そのメカニズムはどのようなものでしょうか? 今回の記事では、…

老齢基礎年金を保険料徴収から消費税徴収に切り替えるとどうなるか?

現在の老齢基礎年金のようなベーシックな年金を、消費税で賄ったらどうなるでしょうか?基礎的な年金を、消費税によって国民皆で負担するというわけです。 消費税で負担するのであれば、年金保険料を支払う必要もないので、保険料の未納付で無年金になる恐れ…

日本における貨幣回転率とその変化率

フィッシャーの交換方程式の貨幣回転率(貨幣流通速度)は、一定と仮定されることが多いですが、実際には変動しており、無視することはできません。特に貨幣回転率の低下はデフレ圧力となるため、デフレ問題を考える場合には重要です。 今回は、日本における…

インフレ率・経済成長率と貨幣量の変化率との関係式(フィッシャーの交換方程式からの導出)

今回の記事では、貨幣数量説における代表的な方程式であるフィッシャーの交換方程式から、インフレ率・経済成長率と貨幣量の変化率の関係式について導きます。 1. フィッシャーの交換方程式 貨幣数量説で用いられるフィッシャーの交換方程式は、次式で表され…

【年金】第2回 2000万円を貯蓄する

20歳から60歳の間の40年間で2000万円を積み立てる場合を考えてみましょう。運用利回り0%なら年額50万円の積み立てが必要ですが、運用益が得られれば、積立金額は少なくて済みます。 今回は、どのくらいの運用利回りが得られれば、どのくらいの積立額で済むか…

【年金】第1回 老後の生活費

金融庁の金融審議会が出した報告書をきっかけに年金の2000万円問題が話題になっています*1。日本の年金は、長らく国債を中心に運用されていたために、運用成績は決して良いとは言えませんでした。現在、年金が問題となっているのも、運用成績が悪いことが原…

【コラム】株式水準の決定方程式と気体の状態方程式

二つの方程式が並んだ、変なタイトルです。変なこと考えてます。 株式水準の決定方程式を見て、ふと気体の状態方程式を思い浮かべました。株価Pと気体の状態方程式の圧力pが似ているな、と。株取引の動きは、さながら気体の分子運動と私には見えてきました(…

預金課税によるハイパーインフレ対策

異次元緩和という金融政策の失敗により、日銀のバランスシートは巨大になり、いずれは、日銀を震源とした経済危機が日本を襲います。これは、異次元緩和の出口が見いだせるか、否かにかかっています。 異次元緩和からの脱出に失敗すれば、円暴落を引き金とし…

株価水準の決定方程式

株式を購入して、代金を支払っても、お金の総量は減りません。なぜなら、買い方の反対側には、売り方が存在し、その代金を受け取るからです。 すると、貨幣量が一定の仮定の下で、株価はどのように決定されるのでしょうか?考えてみました。 1. 株価水準の決…

フィッシャーの交換方程式の観点からのゲゼルマネーの理解

時間と共に価値が減っていくお金がゲゼルマネーです。持っていると価値が下がるので、直ぐに使いたくなります。このため、貨幣回転率が高くなります。 貨幣回転率が高いというゲゼルマネーの特徴を、フィッシャーの交換方程式の観点から見ると、どのように理…

非課税枠付き預金課税と消費減税を同時実施した場合の損益分岐点

非課税枠付き預金課税と消費減税の同時実施は、消費に対するペナルティを貯蓄に対するペナルティに転換するもので、消費を喚起する税制改革です。 今回は、この税制を実施したときの、家計における増税と減税が相殺する損益分岐点について計算しました。 1. …

預金通貨の発行-信用創造・政府支出・銀行支出・現金入金

今回は市中銀行による預金通貨の発行について説明します。金融システムを理解する上で、最も基本的、かつ、重要なことの一つですが、十分に理解している人は少ないように思います。 家計や企業などの民間で流通している民間流通貨幣 (マネーストック) には、…

通貨の種類

金融システムには、いくつもの異なった性格を持つ通貨が流通しています。ここでは、金融システムに流通する通貨の種類について説明します。 1. 通貨の種類 通貨は、その流通する場所によって、2つに分けられます。 一つは、家計・企業などの民間で流通する通…

ゲゼルマネーの貨幣回転率 (キームガウアーの例)

1. お金の回転率 回転率は、資本や設備などが、どれほどの売上や顧客数になっているかを計測するための指標です。資本回転率・客席回転率・客室回転率という言葉をよく聞くと思います。 お金についても回転率(貨幣回転率、あるいは、貨幣流通速度)を計算す…

ゲゼルマネーとは?

1. シルビオ・ゲゼルが提唱した自由貨幣 ゲゼルマネーは、ドイツの経済学者シルビオ・ゲゼル (Silvio Gesell) が、著書「自然的経済秩序」(1914年初版) の中で提唱した「自由貨幣」に端を発します。自由貨幣制度では、時間の経過とともにお金の価値が減って…